優雅なスウィングを生む「静かなる足音」の重要性
社交ダンスの王様とも言われるワルツ。その象徴である優雅なスウィングと、波のような「ライズ&フォール(上下動)」を完成させるために、最も大切な瞬間をご存知でしょうか。
それは、力強い一歩目ではなく、カウント「2」と「3」の扱い方にあります。
今回は、つい流れで済ませてしまいがちなこの2つのカウントに、「極上の丁寧さ」を加えることで、踊りの質を一変させるヒントをお伝えします。
シューズと床が触れ合うその瞬間に意識を向けるだけで、あなたのワルツは驚くほど滑らかになります。
シューズと床の「繊細な会話」を楽しむ
ワルツを踊る際、カウント「1」はアクセントとしてしっかりと踏み込み、エネルギーを生み出す大切な一歩です。そして、音楽に遅れず、リズムよく踊る際には、カウント1を意識することが大切です。
しかし、そのエネルギーを優雅な美しさに変換するのが、続く「2」と「3」の役割です。
このカウント2」と「3」場面で意識していただきたいのは、「振動が少ない、繊細な床へのタッチ」です。
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カウント2: ライズ(上昇)を継続しながら、つま先(トー)をそっと床に置きます。まるで壊れ物を扱うかのように、静かに床とコンタクトします。
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カウント3: ライズを維持したまま、丁寧に両足を揃えます(クローズ)。そして、揃えた足へ体重をゆっくりと移し替えます。
この一連の動作において、「雑音を立てない」「壊れ物を扱う」かのようような慎重さを持つことが、安定感とワルツの優雅さを生み出します。
「ライズ」と「ロア」を滑らかに繋ぐコツ
カウント3の終わりには「ロア(降下)」という動作が入りますが、ここにも上級者ならではの感覚があります。
単に「上がって、下がる」と区切るのではなく、「ライズしながら、すでに次のロアが始まっている」ような、途切れないエネルギーの流れをイメージしてみてください。
降下を急いではいけません。カウント3(さ、ん~)の時間をたっぷりと使い、ゆっくりと踵を下ろしていくこと。この「余韻」とも言える丁寧なロアがあるからこそ、次のカウント1への踏み出しがスムーズになり、途切れることのない流れるようなワルツが生まれます。
足元の「丁寧さ」は、必ず「表情」に現れる
今回、私が最もお伝えしたいのは、「足元の意識は、顔の表情まで変える」という事実です。
「2歩目、3歩目はとにかく丁寧に、慎重に」 そう念じて足先に神経を集中させると、自然とダンサーの表情には、ある種の「奥ゆかしさ」や「品格」が漂います。
音楽を感じとった、内面から滲み出る集中と配慮の表情。それこそが、ワルツの雰囲気を最高潮に高めてくれます。
「丁寧すぎて、慎重な顔になってしまう」くらいで丁度よいのです。
その真剣な眼差しと、指先まで神経の通った足運びが合わさった時、見ている人の心を打つ優雅なダンスになりまます。さらに、踊っている自分たち自身も気持ちのいいワルツらしさを感じながらの楽しい踊りになります。
次回ワルツを踊るとき、試してほしいこと
次回のワルツを踊る時は、以下のことを意識して踊ってみてください。
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カウント1は今まで通り、しっかりと踏み込む。
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カウント2と3は、今まで以上に「優しく、丁寧に」床に触れる。
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足を揃える時、体重を移す時は、スローモーションのように慎重に行う。
派手な動きよりも、こうした目立たない部分の「質」を高めることが、長くダンスを楽しむ秘訣であり、上達への近道です。 あなたの足元から生まれる「丁寧さ」が、ワルツをより美しく気持ち良い踊りにしてくれるはずです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
