タンゴらしさを決定づける「キレ」の正体
私たち(ヒロスとミスズ)は、普段のレッスンにおいて「タンゴとそれ以外」という言葉をよく使います。
これは、ワルツやスローフォックストロットなどの「スイングダンス」と、鋭い動きが特徴の「タンゴ」では、身体の使い方が根本的に異なるからです。
もし、タンゴを踊っていて「何となくだらっとしてしまう」「キレが出ない」「タンゴらしく踊れてないな~」と感じているなら、それはスイングダンスの癖が抜けていないことが原因かもしれません。
今回は、タンゴ特有のスタッカート(メリハリのある動き)を生み出すために欠かせない、「ステップした足の扱い方」と「軸足でのカウントの取り方」について書いていきます。
意識を少し変えるだけで、あなたのタンゴは見違えるほど力強くなるはずです。
「タンゴとそれ以外」を明確に区別する
スタンダード種目の中で、タンゴはまさに異色の存在です。
ワルツのように流れるように踊るスイングダンスと同じ感覚で動いてしまうと、タンゴ本来の魅力である「らしさ」が消えてしまいます。
✅むしろタンゴは、身体の使い方においてラテン種目に近い要素を持っています。
その最大の違いは、音の取り方と「足の残り方」に表れます。
スイングダンスは常に動き続ける「継続的な流れ」ですが、タンゴには「静と動(ストップ&ゴー)」という明確な停止が存在します。
この「停止(Stop)」をいかに表現するかが、上達のコツとなります。
ステップした足はすぐに引き寄せない
タンゴを踊る際、最も大切にしていただきたいのが「足を残す」という意識です。
スイングダンスでは、出した足に体重が乗ると、後ろの足は自然と引き寄せられ、次の動作へと滑らかにつながっていきます(スイング=振り子運動)。しかし、タンゴにはこのスイングがありません。
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スイングダンス: 足が絶え間なく動き続け、流れを作る。
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タンゴ: 動き(Go)の後に、ピタッと止まる瞬間(Stop)がある。
✅ステップした後、送り足(後ろに残った足)をすぐに軸足に引き寄せず、その場に置き去りにするような感覚を持ってみてください。
この「足が残っている瞬間」こそが、タンゴ特有の力強さを視覚的に表現します。足をすぐに寄せてしまうと、動作が流れてしまい、メリハリが失われてしまいます。
カウントの最後まで「軸足」に居続ける
では、どうすれば足を残すことができるのでしょうか。その答えは、「軸足(体重が乗っている足)でのカウントの感じ方」にあります。
多くの方が、次のステップへ急ぐあまり、カウントの途中で無意識に足を引き寄せ始めてしまいます。これを防ぐためには、以下の2点を意識することが効果的です。
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「間(ま)」を楽しむ余裕を持つ タンゴのリズムにおいて、カウント「1」と「2」の間(あいだ)の使い方が重要です。ステップを踏んだ瞬間だけでなく、次のカウントに移る直前まで、軸足の上にしっかりと居続ける意識を持ちましょう。
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「シューズを動かさず体重移動」を確保する 足を揃える際も、ただ寄せるのではなく、重心を動かせる範囲(シューズを動かさず体重移動)を確保した状態で踊ります。
足を引き寄せる動作そのものを見せるのではなく、軸足に乗っている時間を限界まで引っ張るのです。その結果として、自然と「足が残る」形になります。
表現が難しいのですが、ルンバのカウント2~3の時の動きのイメージです。
膝と床の使い方で「重さ」を表現する
この「軸足で待つ」感覚を掴むための、具体的なテクニックをご紹介します。
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着地した瞬間に膝を曲げる タンゴウォークでは、ステップして足裏が床に着いた瞬間に、その足の膝を曲げるように意識してください。これにより、重心移動が素早く完了し、ピタッと止まる(Stop)ことができます。
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床を押し続ける ヒールが床についても、足首の力を抜かずに床を押し続ける意識が必要です。床への圧力が抜けると、体が浮いてしまい、足が勝手に引き寄せられてしまいます。「床を踏みしめる」感覚が、重厚なタンゴの下半身の動きを意識してみてください。
音を「点」ではなく「線」で捉える面白さ
タンゴの音楽は情熱的で、1拍目と3拍目に強いアクセント(点)があります。しかし、この点だけで踊るのではなく、次のアクセントまでの「間」を軸足の上で埋めるように意識してみてください。
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ステップした後、送り足はすぐには動かさない。
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次のカウントが来るギリギリまで、軸足を感じ続ける。
この2つを意識するだけで、音を「線」で捉えられるようになり、あなたのダンスはより音楽的で「タンゴらしい」踊りになると思います。
次回のレッスンや練習で、ぜひ「足を残す」感覚を試してみてください。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
