レッスンを「価値ある時間」にするために、私たち(ヒロスとミスズ)が大切にしていること
社交ダンスのレッスンは、決して安いものではありません。だからこそ、お客様(生徒さん)には「納得できた!」と思っていただける、価値の高い時間を過ごしていただきたい、と思っています。
私たちヒロスダンススタジオでは、そのために「お客様(生徒さん)がその時その場で気軽に声を出しやすい状況を作ること」が何よりも重要だと考えています。
先日、「レッスンの質を高める話し合い」について深く考える機会があり、私たち自身のレッスンを振り返る中で、非常に大切な気づきがありました。今回は、その内容を皆さんと共有したいと思います。
「質問」の3つの種類を使い分けてみませんか?
「レッスン中の質問」というと、踊り方(技術)を聞くもの、と思いがちですが、実はそれだけではありません。お客様(生徒さん)から私たちへの質問には、大きく分けて3つの種類があるように思います。
こんな風に使い分けて質問してみるのはいかがでしょうか?
その1:「どうやって?」を知るための質問
これは、踊り方を具体的に知るための質問例です。 例えば、「先生、このステップの体重はどの足ですか?」や「足の位置はどこですか?」、「視線はどっち?」、「手の位置は?」、「リードのタイミングはいつですか?」など、具体的な内容です。 こうした「どうやって(How)」踊るのかを知る質問は、正し技術、踊りやすくするコツを学ぶためにとても大切です。
その2:「なぜ?」をはっきりさせるための質問
これは、一歩進んで「練習の目的」をはっきりさせるための質問です。 例えば、その1で聞いた「具体的な動きや位置が持つ意味や目的」や、「その練習の目的や得られる効果」を尋ねてみるのはいかがでしょうか。
「今日このステップを練習するのは、滑らかさを出すためですか? それとも、まず正確な形を覚えることが目的ですか?」
このように、「レッスンで今、解説していることの目的」を知ることで、お客様(生徒さん)は、教えている私たちと同じ方向を向いて努力でき、練習の質がぐんと上がると思います。
その3:「どこまで?」を決めるための質問
これは、その日の「達成目標の範囲」を決める、とても重要な質問例です。 「このステップは、今日は足の動きが合えば良いですか? それとも、上半身のスウェイ(傾き)まで、しっかりやることが今回の範囲ですか?」 または、 「『床を押して』というアドバイスは、この8小節だけ意識しますか? それとも、曲全体を通してですか?」 といった具合です。
このように質問して「範囲」がはっきりすることで、お客様(生徒さん)は「今日は、まずここまでを達成しよう」と集中でき、達成感も得やすくなると思います。
理想と現実のギャップ 〜「質問できない」という壁〜
しかし、理想はそうでも、実際のレッスン中にお客様(生徒さん)がこれらの質問、特に、その2や3の質問をすることは、とても難しいものです。 私たち指導者(ヒロス)も、そこは正直に悩むところです。
「流れを止めてしまうかも…」 「こんなことを聞いていいのかな…」
そんな心理的なブレーキ(ためらい)がかかりがちです。 だからこそ、私たちはお客様(生徒さん)が「どんなタイミングでも、どんなことでも」気軽に声を出せて、私たちがそれをしっかり聞ける、そんな環境や雰囲気作りが大切だと考えています。
「自分は、こう思う」と意見が言える。 先生のアドバイスに「先生、それは難しすぎます!(笑)」と、面白くツコミが入れられる。
こうした雰囲気が、実はレッスンの質を一番高めるのではないか、と思います。
「安心感」と「ツコミ」が上達の土台
何を言っても、この先生(この教室)は受け止めてくれる――。 こうした「安心できる関係」こそが、すべての上達の土台となります。
(土台)冗談やツコミが言える・声を出せる
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(その1)だから、わからない技術も気軽に聞ける
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(その2)だから、「アドバイスの意図」や「学びの目標」も確認できる
↓
(その3)だから、「今日はここまででOK?」という範囲も相談できる
お客様(生徒さん):「先生、それは難しすぎます!」 先生:「あ、ごめんごめん。じゃあ、まずはここまでやってみようか」
この軽いやり取りが、お客様(生徒さん)にとって最適な「その日のレッスンの学びの範囲」をその場で決めていく、理想的な話し合いになっていくと思います。
レッスン後の「雑談」にこそ「本音」がある
ここで、私たち指導者が日々感じている、ある「実感」をお話しします。
レッスン中は、音楽もかかっていますし、私たちも一方的にアドバイスをしてしまうことが多いです。
しかし、本当にお客様(生徒さん)が「今、知りたいこと」や「気になっていること」、そうした貴重で大切な発言は、レッスンがすべて終わり、ほっと一息ついた「レッスン後の雑談」の際に出てくることも非常に多いのです。
緊張がとけてリラックスしているからこそ出る「良い意見」や「本音の質問」なのだと思います。
レッスン後のお客様(生徒さん)の帰り支度の中など、ゆっくりお話を聞くタイミングではないことも多く、じっくり解説できず「もどかしい」思いをすることも多いです。
この「リラックスした瞬間」に出てくる言葉こそが、「お客様(生徒さん)の最も価値のある質問」であり、同時に、そうした本音をリラックスして話していただける、「ヒロスダンススタジオが安心できる場所である証拠」でもあると思います。
問題は、その「雑談」をどう活かすか、だと思っています。
雑談を「次のレッスン」につなげる仕組み
お客様(生徒さん)の目的を達成することに全力を注ぎたいので、私たちは、そのレッスン後の雑談で出た貴重な「本音の質問」や「気づき」を、「レッスン記録アプリ(Google Appsheetで作成)」を利用して記録しています。
そして、その記録を元に、「次回のレッスン内容」の準備に活かしています。 この仕組みは、お客様(生徒さん)に役立つといいと思います。
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お客様(生徒さん)は、レッスン後にポロッと雑談したことを先生が覚えてくれている、と知る。
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次回のレッスンで、先生から「前回、〇〇が気になると仰ってましたが、今日はそこを重点的にやってみませんか?」と提案される。
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お客様(生徒さん)は、「自分の目的」に沿ったレッスンを受けられると同時に、「あの時の雑談をレッスンで扱ってくれるんだ」「もっと自分の意見を言ってもいいんだ」と感じる。
この良い循環こそが、お客様(生徒さん)との信頼 関係を強くし、「レッスン中に本音の質問が出る」という理想の環境を少しずつ育てていくことに繋がると思います。
納得のいくレッスンばかりでなく、時には反省点が多いレッスンもあります。
きっとその思いは、お客様(生徒さん)も私たちも同じように感じているのではないでしょうか。
最高のレッスンは、一方的な指導からではなく、そうした思いも共有できる「対話」から生まれると信じています。
ヒロスダンススタジオは、レッスン中も、そしてレッスン後の雑談も、すべてを「次の上達」につなげる仕組みづくりを続けていきます。
これからも、社交ダンスを楽しく、そして踊りやすくしてきましょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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