一つの「気づき」が、踊りも日常も豊かにする
社交ダンスを学んでいると、「あ、この感覚は前にも味わったことがある」と気づく瞬間があります。 こうした感覚はとても大切です。一つの場面で身につけた知識やテクニックは、そこで終わりではありません。別の種目、あるいは日常生活や仕事の場面でも、形を変えて大いに役立てることができます。
これを私(ヒロス)は「転用可能なスキル」と言っています。「転用可能なスキル」という言葉は、あのGoogle社の学びの中でも使われている言葉だそうです。
今回は、ダンスで培った技術や感覚を、どのように他のダンスや人生の様々なシーンで活かしていけるのか、いつもの社交ダンスから学んだ「ヒロス流の考え方」としてお話しします。
種目の垣根を超えて活きるテクニック
社交ダンスには、スタンダード(ボールルーム)とラテンを合わせて10種目あります。さらに、ヒロスダンススタジオでも楽しんでいるジルバ、マンボ、ブルースなどのパーティーダンスを加えれば、その数は13種類にも及びます。
最初は「種目が違うから、踊り方も全く別物だ」と感じるかもしれません。 しかし、経験を重ねるうちに、ある種目で学んだことが、驚くほど他の種目の助けになることに気づきます。いくつか具体的な例を挙げてみます。
ルンバの柔らかさが生む、タンゴの鋭さ
例えば、ラテン種目の「ルンバ」と、スタンダード種目の「タンゴ」。一見すると正反対の動きに見えます。 しかし、ルンバで学ぶ「足の裏を使った繊細なフットワーク」や「空間を柔らかく使う身体の動かし方」。
これをしっかりと身につけることで、タンゴ特有の「鋭いヘッドターン(首の返し)」や動きのキレが、より一層際立つようになります。
「静」と「動」、「柔」と「強さ」は表裏一体です。
ルンバで培った柔らかさがあるからこそ、タンゴの鋭さが美しく表現できるのです。 転用可能なテクニックも活用しつつ、その種目特有のテクニックも表現することで、いままで以上に「表現を楽しむ社交ダンス」になると思います。
ブルースの距離感は、スローフォックストロットに転用可能
また、パーティーダンスの基本である「ブルース」にも大切な学びがあります。
ブルースでは、音楽に合わせてパートナーとの距離感を微調整する感覚を養います。この感覚は、優雅な「スローフォックストロット」を踊る際に、長いラインを滑らかに保ちながら動くための基礎としてそのまま活かすことができます。
ブルースで身につけたスローとクイックのカウントの感覚も、スローフォックストロットに転用可能です。
このように、「種目が違うから関係ない」と思い込まず、「このコツは他の踊りでも使えるかもしれない」と意識しておくことが大切です。
そうすることで、点と点がつながり、上達のスピードも格段に上がります。
ダンスフロアで磨いた感性は、人生のあらゆる場面で輝く
「転用可能なスキル」が活きるのは、ダンスの中だけではありません。 皆様がこれまでの人生で培ってきた経験がダンスに活きるように、ダンスで磨いたスキルもまた、日常のあらゆる場面で皆様を助けてくれるはずです。その考え方のコツが、まさに「ヒロス流考え方」なんです。
私自身や、皆様も振り返ってみると気付かされる「ダンスから日常への転用」の例をご紹介します。
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相手の呼吸を読む力 ダンスでパートナーの呼吸を感じ取る訓練は、日常生活や会議、対話の場で、相手の本音や感情を察知する洞察力に転用可能です。
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プレッシャーの中でも笑顔を保つ力 競技会や発表会、初めての人と踊る時など、緊張感のある場面でも笑顔でやりきる経験。これは、重要なプレゼンテーションやスピーチの際、冷静に振る舞う度胸に変わります。
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一瞬のアイコンタクト 踊りの中で次のステップを決めるパートナーとのアイコンタクト。この言葉を使わないコミュニケーションは、夫婦や家族、友人、仕事の身近な人との何気ないやり取りの中で、相手の思いを汲み取る優しさとして表れます。
健康づくりと趣味の社交ダンスに真剣に取り組んだことは、そのまま「持ち運び可能な自分のスキル」として、人生のさまざまな場面でも皆様を支えてくれるはずです。
「ここだけで終わらせない」という思考習慣
大切なのは、「この技術はこの場所でしか使えない」と限定しないことです。
うまくいった時や、良い感覚をつかめた時には、ぜひご自身に問いかけてみてください。 「この感覚は、他の場面でも使えるのではないか?」
そう考える習慣を持つことで、社交ダンスに対しても、日常の出来事に対しても、より本気で、より丁寧に向き合う意識が生まれると思います。
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一瞬の集中
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一つの優しい言葉
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丁寧な振る舞い
これらはすべて、社交ダンスでも生活でも、共通して大切にすべきことです。 健康づくりや趣味として社交ダンスを楽しみながら、そこで得たたくさんの「気づき」を、ぜひ人間関係や毎日の生活を豊かにするために活かしていってください。
ヒロスダンススタジオでは、そんな心と身体のつながりを大切にしながら、皆様と一緒に楽しく踊っていきたいと願っています。
社交ダンスから学んだ、ヒロス流考え方の話でした。 今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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