意識的に複数の感覚器官を働かせて、感度も高めていこう
社交ダンスは、テクニックやステップ、用語を覚えることも大切ですが、それらを実際に踊りの中で活かすためには、感覚器官を意識的に働かせることが非常に重要になります。
感覚器官を増やす、というよりは、意識的に感覚器官を働かせる、感覚器官の感度を高める、複数の感覚器官を連動させる、という表現の方がより適切かもしれません。
社交ダンスで特に重要となる感覚器官と、それらを効果的に働かせるためのポイント、そして感覚器官を働かせることでどのようにダンスが踊りやすくなったり、上達するのかかについてご書いていきたいと思います。
社交ダンスで重要となる感覚器官
主に以下の感覚器官が社交ダンスにおいて重要な役割を果たします。
- 視覚
- 聴覚
- 触覚
- 平衡感覚
1. 視覚
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役割:
- フロアの状況把握: 周囲のカップルの位置、フロアの広さ、障害物などを把握し、安全に踊るために重要です。
- 組んでいる相手の動きの観察: リード/フォロー、相手の表情や姿勢の変化を読み取り、スムーズな連携に繋がります。
- 正しい姿勢の確認: 鏡を見たり、動画を撮影したりして、自分の姿勢や動きを客観的に確認し、改善に役立てます。
- 方向と空間認識: 移動していく方向、ステップの軌道(ナチュラル系なら壁に近づき、リバース系だったら中央に移動)、空間的な広がりなどを視覚的に捉え、ぶつからず、踊りやすい動きを目指します。
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効果的に働かせるコツ:
- 一点集中ではなく、視野を広く持つ: 一点だけを見るのではなく、フロア全体を視野に入れるように意識しましょう。
- 相手の全身の動きを感じる: 顔の表情だけでなく、姿勢、手の位置、股関節や膝の曲がり、足の動きなど、全身から情報を読み取るように心がけましょう。
- 空間を意識した練習: ステップの軌道(ナチュラル系とリバース系)や、身体の軸が空間の中でどのように移動していくかを視覚的に意識しながら練習しましょう。カップルとしてや、自分のボディーの移動を意識してください。
2. 聴覚
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役割:
- 音楽のリズム、テンポ、強弱の把握: 音楽に合わせて踊る社交ダンスにおいて、音楽を正確に聴き取ることは最も重要です。リズム、テンポ、メロディー、強弱(アクセント)などを聴き分け、音楽に合った動きを表現につながります。
- 抑揚をつけたカウントの聞き分け: 先生や踊っている相手の声の調子から動きに変化をつけましょう。
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効果的に働かせるコツ:
- 音楽を深く聴き込む: 単に音楽を「聞く」だけでなく、リズム、メロディー、強弱などを意識して「聴き込む」練習をしましょう。
- リズム取りの練習: 音楽に合わせて手拍子や足踏みをしたり、リズムに合わせてステップを踏む練習を繰り返しましょう。
- 様々なジャンルの音楽に触れる: ワルツ、タンゴ、ルンバ、チャチャチャなど、様々なジャンルの音楽を聴き、それぞれの特徴、特にアクセントがどこかを掴むようにしましょう。
3. 触覚
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役割:
- パートナーとのコンタクト: ホールドや手の繋がりを通して、パートナーとの一体感を生み出し、リード/フォローを円滑にします。
- 床反力、重心移動の感知: 足裏から床を感じ、重心移動をスムーズに行い、安定したバランスと推進力を生み出します。フットワークも同時に感じてください。
- 衣服や空気の流れを感じる: 上級者では、自分の身体の動きによって、脚部の衣服が擦れる感覚や、移動してく空気の流れを感じることで、空間を移動する感覚を気にしてみましょう。
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効果的に働かせるコツ:
- パートナーとのコンタクトを意識する: 単に手を組むだけでなく、圧力を感じ取るように意識しましょう。
- 足裏の感覚を研ぎ澄ます: フットワークや、シューズの裏が床と擦れて回転する感触を感じながら、その回転のタイミングを見つけましょう。
4. 平衡感覚
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役割:
- 身体の傾き、回転、加速の感知: 身体の傾き、回転、加速などを感知し、バランスを保ちます。
- 平衡感覚の維持: 回転系のステップや、フロアを大きく移動する際に、バランスを崩さずに踊るために重要です。
- 方向感覚、空間認識: 自分がどちらに動いているのか、どの方向に回転しているのかなどを把握し、空間的な位置関係を認識します。
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効果的に働かせるコツ:
- 回転運動の練習: 回転系のステップ (ナチュラルターン、リバースターンなど) を繰り返し練習し、回転感覚に慣れましょう。最初はゆっくりとした回転から始め、徐々にスピードを上げていくと良いでしょう。内回り、外回りの動きを意識しながらが大事です。
- 首のストレッチ: 女性に限らず、男性も、首の筋肉を柔軟にすることで、頭の重さを感じた回転をスムーズにしたり、顔の向きの変化を調整しやすくできます。
感覚器官を働かせることによって踊りやすくなる具体例
- 音楽と動きの一体感: 聴覚を意識することで、音楽のリズムやメロディーをより感じやすくなり、音楽と一体になった、より表現力豊かなダンスが可能になります。
- パートナーとのより良い繋がり: 触覚を意識することで、パートナーとのコンタクトが良くなり、より繊細なリード/フォローが可能になり、二人の一体感が増します。
- 正確で美しい姿勢と動き: 視覚と平衡感覚を連動させることで、自分の姿勢や動きを客観的に把握し、より正確で美しい姿勢と動きを身につけることができます。フロア全体を把握し、安全に、かつダイナミックに踊ることが可能になります。
- 疲れにくい、効率的な踊り: 感覚器官を効果的に働かせることで、無駄な力みがなくなり、よりリラックスして、疲れにくい、効率的な踊りができるようになります。
社交ダンスを上達させるためには、テクニックや知識だけでなく、感覚器官を意識的に働かせ、その感度を高めることが非常に重要です。
今回ご紹介したポイントを参考に、様々な感覚器官を意識的にトレーニングし、より感度の良く感覚をダンスに活かしていきましょう。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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