こころ豊かな人生の見つけ方:社交ダンスとヒロス流の考え方

「心理的に豊かな人生」を求めて

「豊かな人生とは何か?」——この問いに、あなたならどう答えますか?

お金や物に恵まれることでしょうか。目標を達成することでしょうか。それとも、日々の変化や成長を感じられること、夢中になれる時間を持っていることでしょうか。

ヒロスダンススタジオでは、社交ダンスを楽しく踊るテクニックを磨くだけでなく、その経験を通じて、日常生活やビジネスといった人生のあらゆる場面に応用できる、もっと深い「豊かさ」へと発展させていくことを目指しています。

今回は、ポジティブ心理学や哲学、そして健康づくりと趣味の社交ダンスから見えてくる「豊かな人生」の形について、ヒロス流の視点から書いていきたいと思います。

3つの「良い人生」:あなたはどれを目指しますか?

近年、ポジティブ心理学の世界では「心理的に豊かな人生(Psychologically Rich Life)」という新しい概念が注目されています。これは、従来の幸福論が分類してきた人生の形に、新たな一面を加えるものです。

多くの人が望む人生の形は、主に以下の3つに分けられます。

  1. 幸せな人生(ヘドニックな幸福): 快楽や楽しみを最優先に求める生き方です。美味しいものを食べたり、旅行に行ったりする喜びを重視します。

  2. 意味のある人生(ユーダイモニックな幸福): 社会貢献や自己実現など、人生の目的や意義を重視する生き方です。

  3. 心理的に豊かな人生: 好奇心を原動力に、新しい経験や挑戦、そこから生まれる変化や成長を求めます。例えば、新しい趣味を始めたり、これまで行ったことのない場所へ旅行に出かけたりするように、時には慣れないこともありますが、その経験を通じて視点が変わり、喜びも悲しみも深く味わいながら人生を旅するように生きていきます。

ある調査では、国や文化を問わず約15%もの人々が、安定よりもこうした変化に富んだ「心理的に豊かな人生」を望んでいるという結果が出ています。つまり、日々の楽しみや安定した暮らしといった、これまでの幸福の考え方だけでは、心が満されない人々もいるということです。

哲学が示す、精神的な豊かさへの道

哲学の世界では、豊かさを「物理的レベル」と「精神的レベル」の2つに分けて考えます。

  • 物理的レベル: 衣食住の安定、健康、時間やお金の余裕など、生活の基盤となる豊かさです。

  • 精神的レベル: 心の充実感や満足感、生きがいといった内面的な豊かさです。

現代社会は物理的には非常に豊かになりましたが、それが必ずしも精神的な豊かさに直結していないのは、多くの人が感じていることだと思います。

では、どうすれば精神的な豊かさを得られるのでしょうか。その鍵の一つが、何かに没頭したり、夢中になったりする時間を持つことだと思います。

時間を忘れ、他人の評価も気にせず、ただ「今、ここ」の活動に完全に集中している状態。

この夢中になっている時間こそ、精神が最高に満たされる瞬間です。そして、誰かに止められてでもやりたいほど夢中になれることを追求することが、自分自身の喜びを深め、人生に彩りを与えてくれます。これこそが、長く続いていく、本当の豊かさのかたちだと思います。

社交ダンスに凝縮された「豊かな人生」のヒント

一見、優雅な趣味に見える社交ダンスですが、この「心理的に豊かな人生」と「精神的な豊かさ」を得るための学びが驚くほど詰まっていると実感しています。

自己と向き合うトレーニング

社交ダンスは、自分の身体の重心はどこか、どの筋肉がどう動いているのか、そしてパートナーの動きをどう感じるか、常に自分を客観視するという「メタ認知」の能力を養います。自分の思考や身体の動きの癖を客観的に観察することは、自己理解を深める最高のトレーニングになると思います。

「考えて、試す」を繰り返す力

「なぜ今のステップは上手くいかなかったのか?」「どうすればもっと心地よく踊れるのか?」と問い続ける探求心。

そして、状況をよく見て、どうすべきか考え、決めて、行動してみる。この「考えて、試す」という繰り返しが、音楽に合わせて踊る中で自然に身につきます。失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返す力は、日常生活の様々な場面でも必ず活きてきます。

パートナーシップが育む「心理的安全性」

楽しい踊り、いい動きや息の合ったリードやフォローは、パートナーとの信頼関係から生まれます。互いに意見を言い合い、安心して話せて、安心して聞けるそんな「心理的安全性」の高い関係性が、ダンスの質を飛躍的に高めます。

これは、職場でのチームワークや家族関係にも直結する、非常に重要な要素です。

自己認識を深める「言語化」と「生きがい」の発見

社交ダンスで得られる自己理解を、さらに確かなものにするのが「言語化」の力です。

言語化がもたらす自己理解

社交ダンスにおける動きの強弱や緩急といった感覚的な表現は、なかなか言葉で説明しにくいものです。

この「なんとなく」感じていることを、どうにかしてパートナーに伝えようと試みること、これらを「言葉にする」ことで、私たちは初めてそれを客観的に捉え、向き合い、改善策を考えることができます。

そうして自分の中にある感覚を言語化するプロセスが、自己理解を飛躍的に深めるのです。この力は、社交ダンスだけでなく、様々な場面での自己理解を深めることに役立てられると思います。

日本独自の概念「生きがい」と人生の豊かさ

人生の豊かさを感じる要素の一つに、日本独自の概念である「生きがい」が含まれると思います。これは単なる幸福感や目的意識とは少し異なり、人生の意味、日々の喜び、人との繋がり、自分らしさといった、様々なものが複雑に絡み合った感覚です。

この「生きがい」という感覚も、なかなか言葉にしにくいものですが、自分なりに言葉にしようとすることで、自分自身の人生の豊かさを改めて認識できるようになるのではないでしょうか。

その試み自体が、自分だけの豊かさを見つける大切な一歩になると思います。

日常生活に活かす、豊かさへのヒント

これまでお伝えしてきた心理学や哲学の話は、日々の小さな行動に落とし込むことで、初めて意味を持ちます。

基本的な心構え

  • 挨拶は自分から: 良好な関係性は、まず自分から心を開くことから始まります。

  • 会話は傾聴から: 相手を本当に理解するには、まず深く聴くことが不可欠です。

  • 自信は姿勢から: 社交ダンスが教えてくれるように、背筋を伸ばすだけで心も前向きになります。

感情をコントロールする知恵

  • 焦った時には、急がない: 深呼吸ひとつで、視野が広がります。

  • 怒っている時には、LINEなどで返信しない: 一時の感情が、後悔を生むことがあります。

  • 失敗したら、一人で抱え込まない: パートナーや仲間を信頼することが、視点を変え、気持ちを前向きにしてくれます。

これらの知恵は、社交ダンスで学ぶ感情コントロールやパートナーシップと見事に繋がり、昔からずっと変わらない大切なことだと思います。

まとめ:みんなで一緒に、自分自身の「豊かさ」を見つけていく

心理的に豊かな人生、没頭する時間、他者との深い繋がり、そして自己の内面を言語化していく力。豊かさの形は、人の数だけ存在します。

最終的に大切なのは、「自分自身が『これだ』と思える豊かさの形を、ご自身で見つけ、そして実感していくこと」だと思います。

社交ダンスを通じた学びや、ヒロスダンススタジオのブログでお伝えしているヒロス流考え方が、そのための道しるべとなれば、これほど嬉しいことはありません。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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