ワルツもタンゴもルンバも…その根底に流れるもの
社交ダンスは、スタンダード5種目、ラテン5種目、それにブルースやジルバ、マンボと複数の種目があります。
ワルツの優雅さ、タンゴの情熱、ルンバの官能性、チャチャチャの軽快さなど、種目ごとに異なる特徴とテクニックがあります。
それぞれの種目の特徴を学ぶことは、もちろん上達に大切です。
だからこそ、社交ダンスは学びをずっと続けられ、つまり、ずっと成長し続けられる奥深い趣味と言えます。
しかし、そのたくさんの種目の根底には、全ての種目に共通する「原則」や「概念」が存在します。
今回は、社交ダンスにおける重要な共通原則について書いていきます。
これらを理解し、意識することが、各種目を踊りやすくし、パートナーとの一体感を深め、より快適なダンスになると思います。
原則1:パートナーシップ – 二人で創り上げる調和と空間
社交ダンスは、一人ではなく「二人」で踊るものです。
そこにはリードとフォローという役割が存在しますが、最も大切なのは、お互いを尊重し、協力して一つのダンスを創り上げること、そして相手を大切にし、感謝する意識を持つことが重要です。
- 相互理解: 相手の動きや意図を感じ取り、自分の動きをそれに合わせる。
- スペースを作る: お互いが快適に、そして自由に動けるための「空間」を意識的に作り出す。窮屈になったり、逆に離れすぎたりしない配慮が必要です。
- 適切なコネクション: 男女が触れ合うコンタクトポイントでは、常に適切な張り(トーン)を保ち、引っ張り合ったり、逆に緩みすぎたりしないようにします。この安定したコネクションが、スムーズなリード&フォローの基礎となります。
- 思いやり: 一緒に踊ってくれる相手への感謝と敬意を持つこと。この気持ちが、温かく心地よいダンスを踊る基礎となります。
原則2:ホールド – 美しさと機能性を支えるフレーム
正しいホールド(組み方)は、見た目の美しさだけでなく、安定したリード&フォローを実現するための重要な「フレーム」となります。
- 基本の形: 種目によって多少の違いはあれど、基本となる正しい組み方を身につけることは、ステップを覚えることと同じくらい、あるいはそれ以上に大切です。
- 腕の位置と力加減: 腕はリラックスさせ、適切な位置を保つ。相手を強く握ったり、腕力だけでコントロールしようとしないこと。コネクションは保ちつつ、互いに寄りかからない自立したバランスが大切です。
- スペースの意識: ホールドにおいても、二人の間に適切な空間を保つ意識が重要です。
原則3:姿勢と体幹 – 安定した動きを生み出す土台
美しい姿勢と安定した体幹は、全ての種目の基礎となります。
- 上下への意識: 上半身は天井から吊られているように、あるいは背骨を一つずつ積み上げるように引き上げ、逆に下半身は床に向かって深く根を下ろすような意識を持ちます。
- 体幹(軸)の重要性: 身体の中心である体幹を安定させることが、ブレのない動きに繋がります。特に、体重が乗っている軸足の上に、しっかりと自分の中心(センター)を移動させる意識が重要です。
原則4:体重移動 – 明確さと滑らかさが動きを作る
音楽に合わせてスムーズに動くためには、正確で明確な体重移動が重要です。
- ステップとウェイトチェンジの区別: 足を動かすこと(ステップ)と、体重を移動させること(ウェイトチェンジ)は、意識的に区別して動くことが重要です。
- 明確な移動: 左右の足への体重移動は、「どちらの足に体重が乗っているか」がはっきりと分かるように行います。中途半端な体重移動は、不安定さや次の動きへの遅れに繋がります。
- 軸足への意識: 体重を移動させた軸足には、しっかりと全身の重さを乗せ、安定させます。もう片方の足を床から離しても、ふらつかずに立っていられるくらい、軸を意識することが大切です。
原則5:リズムとアクセント – 音楽と一体になるための感性
社交ダンスは音楽に乗ることが大切です。音楽のリズムやアクセントを理解し、表情や体で表現することが重要です。
- リズムの理解: 各種目の基本的なリズム(例:ワルツは3/4拍子、タンゴは2/4または4/4拍子)や、スロー(Slow)とクイック(Quick)のタイミングの違いを理解し、体で表現できるようにしましょう。
- アクセントを感じる: 単にカウントを数えるだけでなく、音楽の中の強調される音(アクセント)を感じ取り、ステップの始まりや動きの強調と連動させます。音楽の流れに乗る感覚を常に優先順位の高いものとして踊っていきましょう。
共通原則を土台に、個性も大切に
今回ご紹介した5つの原則と概念は、社交ダンスの様々なスタイルやテクニックに共通する、いわば「土台」です。これらをしっかりと理解し、日々の練習で意識し続けることで、
- より安定した、洗練された動き
- パートナーとのスムーズな調和
- 音楽との深い一体感
を実現することができると思います。
種目別に学ぶべきこと、知ることで上達するポイントはたくさんあります。
だからこそ、まずはこれらの共通原則をしっかりと身につけ、その土台の上に、各種目の持つ独特な特徴や表現を加えていく、という順番で学んでいくことをお勧めします。
そうすることで、安心して、納得感を持って社交ダンスを楽しく踊っていけると思います。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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