社交ダンス、心から楽しめていますか?
社交ダンスは、音楽に合わせて体を動かす、とても楽しい趣味であり運動です。夢中になればなるほど、「もっと上手に踊りたい」「もっときれいに見せたい」という気持ちが強くなるのは自然なこと。
しかし、その真剣な想いが、いつの間にか「楽しむ」ことよりも「正しく踊ること」を優先させてしまい、パートナーとの間に気まずい雰囲気を作ったり、ご自身が楽しむ気持ちを我慢してしまったりすることはありませんか?
「ステップが違う」「リードが分かりにくい」など、良かれと思っての発言や、相手を思って気を使った言葉でさえも、意とせず相手を傷つけたり、言い争いになったり…。
せっかくの楽しい時間が、少し残念なものになってしまうのは、本当にもったいないことです。
コミュニケーションのテクニック、ちょっとした会話のコツや相手を思いやる気持ちを持つだけで、二人のダンスは驚くほどスムーズになり、楽しみながら上達していくことができます。何よりも、自分自身が楽しく踊れるようになると思います。
この記事では、私(ヒロス)が社交ダンスを心から楽しむために大切だと考えているコミュニケーションのコツを、一つひとつ丁寧に書いていきます。
これらのコツは、ダンスフロアの上だけでなく、ご家庭や友人関係、お仕事の場面など、日々の暮らしの中でも役立つといいなと思います。
夢中だからこそ起こるすれ違い、どう乗り越える?
健康づくりと趣味の社交ダンスとして楽しむことを理解していても、真剣に夢中に取り組んでいると、どうしても、改善に向けた言葉が自然と会話に入り込んでくるものです。その言葉を伝える時にこそ、少し意識しておきたい会話のコツがあります。
例えば、
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❌ 自分が正しいことの主張したり
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❌ 相手を納得させる言い方だったり
といったコミュニケーションは避けたいものです。大切なのは、「教える」という姿勢ではなく、お互いの感じ方や考えを「聞き合う」姿勢です。
「こうしたらどうかな?」「こんな風に感じるんだけど、どう思う?」と、柔らかい言葉で提案し合うことで、会話はぐっとスムーズになります。
心地よい会話のための3つの心がけ
身近なパートナーと話すとき、特に意識したいのが次の3つです。
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笑顔で接する: 何よりもまず、にこやかな表情が大切です。笑顔は相手の心を和ませ、安心して話せる雰囲気を作ります。
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相手を認める気持ちを持つ: たとえ意見が違っても、まずは「あなたはそう思うんだね」と、相手の考えを受け止める姿勢が大切です。
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話を聴く姿勢: 相手が何を伝えたいのか、最後までじっくりと耳を傾けましょう。普段から何でも話せる関係を築いておくことが、いざという時に助けになります。
この3つは、私がしばしば記事に書いている「安心して話せて、安心して聞ける」という、ダンスだけでなく、あらゆる人間関係を良好にする基本だと思います。
安心して踊れる関係を築く、3つの大切なこと
お互いに気持ちよく、安心して踊るためには、技術以前にふたりの仲、仲間同士の仲が良いことが何より大切です。そのために、私たち(ヒロスとミスズ)は次の3つのことを大切にしています。
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素直さ: わからないことは「わからない」、できないことは「できない」と正直に伝える素直さ。
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誠実さ: ごまかしたりせず、正直な心で相手に向き合う誠実さ。
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お互いのできる範囲を知っておくこと: 「これくらいのステップなら踊れる」「この動きは少し苦手」といった、お互いのレベルや得意・不得意を事前に理解し合っておくこと。
この3つが揃うと、「間違えたらどうしよう」という不安が消え、心に余裕が生まれます。
その安心感が、結果として安心して踊れることで音楽や動きの気持ち良さに意識が向くようになり、自然と楽しいダンスになるのだと思います。
楽に楽しく踊るための、心地よいリード&フォローのコツ
ダンスにおけるリード&フォローは、ふたりが心地よく踊るための、とても大切なポイントです。ここでは、相手が心地よいと感じる、具体的な踊り方のコツをご紹介します。
まずは力を抜いて、基本を大切に
初心者の方ほど、リード&フォローを「しっかりやらきゃ」と意識するあまり、体に力が入りがちです。しかし、強い力はかえって動きを妨げてしまいます。
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コンタクトは優しく: 相手の手を強く握ったり、ぐいぐい押したりせず、優しく触れる程度にしましょう。特に男性の右手は、女性の背中にそっと添えるくらいが丁度良いです。
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体重移動をはっきりと: 「今、どちらの足に体重が乗っているか」が相手に明確に伝わることが大切です。
ステップの途中で両足に体重が乗ってしまうと、次の動きでどちらの足をステップするのかわからなくなるという、初心者の方のよくあるトラブルや心配ごとに繋がります。
また、中級者の方の場合、次のステップへの動きやエネルギーを溜める動作が遅くなります。常に左右どちらかの足に体重が乗っている状態を意識しましょう。 -
踊りを止めずに続ける工夫: もし次のステップがパートナーとズレてしまっても、慌てることはありません。
大切なのは、踊りを完全に止めずに、すぐに修正して流れに戻ることです。
踊りの途中にトラブルがあっても、微調整しながら踊り続ける、という気持ちでいると、もっと気軽にダンスを楽しめます。
ふたりの踊りを安定させる、組み方の基本
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安定した組み方を意識する: 踊っている間、お互いの位置関係を保ち、自分の視界に入っているパートナーの顔(頭)の見え方が踊っている最中、特に回転の時でも変わらないようにしましょう。
こうすることで、ふたりの軸が安定し、ぐっと踊りやすくなります。(この時、相手と真正面にならないように意識することも大切です。) -
力で修正しない: 特にリードする男性は、もし相手のステップが違うと感じても、無理に力で直そうとしないでください。
自分の思っていたのと違うステップだった場合には、すぐに調整して音楽に合わせて踊り続けることで、流れを止めずに楽しめます。
競技会ではないのですから、完璧に踊ることよりも、音楽を楽しみ、二人で踊り続けることを優先しましょう。
「教え合い」で、ふたり一緒にレベルアップ!
ダンスの練習において、お互いにアドバイスをすることは次に踊る時に踊りやすくしたり、また、上達にもつながります。特に「教える」という行為は、教える側にとって最高の学びになります。
言葉にして伝えることの力
「このステップは、こういうイメージで…」と、自分が感じていることを言葉にして相手に伝えようとすると、頭の中が整理され、自分自身の理解がぐっと深まります。なんとなく分っていたつもりでいたことが、はっきりと理解できるようになります。
時には、言葉にできないこともあると思います。
また、仲間と「私はこう思うんだけど、どう?」と意見交換(共有)をすることで、自分一人では気づけなかった新しい視点や、勘違いに気づくこともできます。
ヒロスダンススタジオのグループレッスンでは、生徒さん同士が「こうしたらどう」という意見を軽く話せて、その内容を私たちが補足説明したりする場面も良くあります。
意見が違った時でも、場の空気を和やかに保つコツ
これは社交ダンスの場面に限りませんが、お互いの意見が食い違うことは、どんな場面でも起こり得ます。
そんな時、お互いが「自分の正しさを分かってほしい」と一生懸懸命になると、かえって気まずい雰囲気になったり、意見の溝が深まってしまったりすることがあります。
大切なのは、次のような心がけで、安心して話せる温かい雰囲気を作ることです。
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相手の意見を頭ごなしに否定しない
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間違いを笑ったり、責めたりしない
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お互いの考え方を尊重する
お互いが安心して話せる温かい雰囲気こそが、良い関係を育み、ダンスにおいても、日常においても、お互いを高め合うことに繋がりますね。
心地よいコミュニケーションが、豊かなダンスと毎日を育む
社交ダンスを心から楽しむための鍵は、難しいステップやテクニックだけではなく、パートナーを思いやる温かいコミュニケーションが土台になります。
ふたりで、仲間同士で、そして自分自身が「楽しいね」と感じ、お互いに心から笑い合える時間が増えると、自然と会話が生まれ、お互いのことをもっと深く理解できるようになります。
そうした心地よい関係の中で交わされるアドバイスや意見交換は、ふたりのダンスをさらに楽しいものへと磨き上げ、その結果として、上達にもつながるはずです。
さらに、相手の立場を考え、尊重し、自分の想いを上手に伝える力は、日々の意識によって磨かれていくコミュニケーションの技術だと思います。
この技術は、ダンスフロアを離れたご家庭やご友人との時間、お仕事の場面といった様々な場面で役立ち、あなたの毎日をより豊かにしてくれます。
私たちヒロスダンススタジオは、皆さんが安心してダンスについて語り合い、学び合える温かい場所でありたいと願っています。
そうした場を通じて、健康づくりや趣味の社交ダンスが、単に楽しい運動の時間だけでなく、多くの学びの機会となることを心から願っています。
この記事が、あなたの社交ダンスライフをこれまで以上に楽しく、豊かなものにするための一助となれば幸いです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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